Tinashe - "Songs For You"
奥にある非アイドル性が生む魅力
アルバムとして発表して無い通り、わざと売れ線からずらした作品。売れることよりも自己の内面的表現をメインにしてるのに、独りよがり感がない。このジャケが何よりも示してる。昔からマルチな才能の歌手・グループはいる。一人/自分達で全てやる。けど、3作目を越すのは難しい。最初の才能の量なんて誰でもそう。マルチな歌手にはある種の特徴がある。うまく言語化できないけど、歌手ベースで100名以上持っている人は分かるでしょう。ある種の内向性。職人気質ともいえる何か。
Tinasheにはそれがない。売れた後に自作曲を歌う歌手も多い。けど、殆どが駄作。なのに彼女の作品はその壁を乗り越えてきた感があって、そこにどうしても惹かれる。売れて有名になったあとの歌手はこの苦労ができない。どこかにドヤ顔が入っちゃう。そちらの方が人として当然だからネガティブな印象はない。単にTinasheが凄いだけ。
時代は変わった。華原朋美がこの世代だったらTinasheと同じだけの成功をつかめたかもね。って、ぜんぜんファンじゃない。誰かがカラオケで歌っているか街で流れている以上は知らない。単に何故か二人がリンクする。
アルバムの理解を助けるジャケもあれば、逆に混乱させるジャケもある。このジャケは混乱させる方。このジャケに惹かれて買う男の子なんていまどきいないよ。分かってやってるね。こういう売れなくなるのを恐れない確信犯な部分がTinasheが持っている自由度。まるでAlicia Keysのデビュー時と同じ。けど、Alicia Keysは幼年期から音楽の素養が高いと思わせる作風。Tinasheにはそれを感じない。けど、今はこのレベルまで曲を自作できる。ほんとびっくり。
18年のJoyraideよりも19年の本作の方が実験的。Touch & Goとか面白い。全体としてMissyとアリーヤを足して2で割ったような手触りの作品。00年前後をしっていれば、この言葉がどれだけ褒め言葉か分かると思う。Know Betterも高音が得意な歌手の王道路線なのに自作曲のような多重録音があって、ちゃんと視線の角度を変えてくる。声のトーンの対比がはっきりしている分だけ分かりやすいかもね。
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Bj The Chicago Kidも聴きました。こちらもびっくり。。マジかよ。こちらはまだ言語化できてない。過去の歌手と比べて、似てる人もあげれない。そこはカリードと同じだけど、カリードの方がまだ内面が分かった。Bjのほうが分からない。こちらも本人の過去の作品を聴かないと。Hip-Hopへの距離感が昔と違う。昔もちょっと早口で歌う歌手もいたけど、いまの方がもっとシームレス。その分だけ単純なタイプ分類を拒否する。直感的にはMarc Dorseyに似てるかも。。ぱっと見は全く似てないのだけど、それが時代の違いだと。2015まではラップ調で歌うのは外向性タイプの歌手だった。いまは内向的な歌手もそういう曲を入れてくる。うちの分類軸が時代についていけてないような。
4月まで更新延期で、その間にゆっくりRatedR&Bのリストを聴こうとおもったのに。ここまで驚くと流石に書いてしまった。。
- 2020.01.15 Wednesday
- 2019
- 21:33
- comments(1)
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た
前のアルバムの方が私は好きですね
Tinasheを誉めるとは思ってもみませんでした
新時代のR&Bデイーバです