P.M. Dawn 特集

哲学的で内省的なラップの元祖


作成当初からアルバムコーナーに予定してたのに遅れてた。当時のファン度合いはスキな歌手コーナーに載せるほどだったのに。。遅れた一番の理由は

歌手とラッパーの境界線上の立ち位置
表現内容も「ノリや楽しさ」「ギャングスタ」でなく、哲学的かつ内省的で当時からオンリーワン。僕が一番好きだったのは2作目に収録されたBeyond Infinite Affections「無限の愛情の彼方に愛と憎しみの根源がある」とラップした曲。この曲にどれだけ影響受けたって・・・高2のクラス文集の特別コーナーにこのテーマについて考察を書いたぐらい。歌詞カードみてラップの練習したのは彼らだけ。当時はそんなにラッパーと思ってなかった。彼らの曲の半分ぐらいはラップでなく普通に歌ってるから。

デビュー作のSet Adrift on Memory Blissは「メロディアスなラップ」なのか「サビ以外はトーキングしてる歌」なのか区別に困る曲だけど見事に全米No1。当時はかなりラジオで流れていたから聴けば時代を思い出す人もいると思う。こちらも結構歌詞カードみて練習した。この曲はラップがゆっくりなので楽。同じくデビュー作からはpaper Dollもシングルカット。個人的にはちょっとダークに振ったこっちの方がスキだった。

  この独特の立ち位置はなかなか本国で認められずイギリス先行デビューというのも調べて初めて知った。すごく納得。
オルタナティブ・ラップのデ・ラ・ソウル(De La Soul)にそっくりで、ハードコアでもなければゲットー出身でもない、ということで断られた。
この情報を当時に見てれば間違いなくDe La Soulを聴いて、バランスよくHip-Hopも聴く音楽人生になれたと思う。そんな意味では「ナンパかギャングばっかりのラッパーには怒りを覚える」とまで書いたら怒られるかも。 けど40過ぎてやっとラップを聞き始めるのも何かが間違っているし、せっかく当時に自分にとって相応しい入口を見つけていたのに、その奥に行けなったのは僕のせい? 

良縁がなかったんだよ
こういうときはこういう言葉で締める。それが大人の態度。学生時代からモンモンさんのようなガチHip-Hopファンの友達がいれば、また変わったのかもね。

素直にいえば当時のHip-HopファンはPMドーンをHip-Hopと認めてないと思う。これだけHip-Hopの表現の幅が広がった2005年以降のHip-Hopファンの方が素直に評価してくれるのかもね。

考えすぎる内省的な男の子をイチコロにする核はあった
それだけは保証するよ。ただ、今の時点から見ると、こういう哲学的な曲は訳語にも拘ってくれ・・・・Beyond Infinite AffectionsのAffectionsを「愛情」と訳すな。これは「心の動き」であり、正負両方含む。だから「情動」の方がまだ良い。言葉を使って掘り下げるとき、最初に語の定義でぶれると、それだけで壁・落とし穴ができる。言葉を使わずに掘り下げるには、音楽か絵画の能力必要。

彼らに続くラッパーがいなかったのでも、訳者がイマイチだったのでもなく、根本的には3作目がスピ系に行きすぎたから。Jesus Weptって「キリストが泣いていた」というぶっ飛んだタイトル。ヘビーな経験を掘り下げて深い世界に行くならともかく、、、そうでもない。発売当時に買って聴いて失望して、その感覚が自分だけでなくナッツも同じと知って、巷でも全然ヒットしなくて。。I'll Be WaitingとMiles From Anything、Sonchyenneはお勧めだけど、これは普通の曲。哲学的な歌詞のラップではない。普通の曲ならPMドーンでなくても他にいっぱい良い歌手はいる。

そんな意味で、ずっと紹介が遅れてましたが、今からHip-Hopを学んでいくにあたり、やっぱり自己の原点は大切にしようと思った。当時は全く気づかなかったど、PMドーンという名前自体が「午後夜明け」なんだね。彼らが夢見た朝は今のHip-Hopシーンにあるのか、それはぜひ皆さんからも教えて欲しいと思っている。

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デビュー当時はかなり気に入って3作目が失敗して退場という軌跡はShaiと同じ。この二つのグループは絶対にファン層重なる。同じだけ内省的だから。けど、他の人もShaiの方が好きだったんじゃないかな。彼らの3作目は隠れ傑作だから。あの緑の曲は本気緑。合わなかったPMドーンの3作目は、僕にHip-Hopセンスが無かったせいなのか、いまからもう一度聴きこんでちゃんと検証したいと思ってる。

 

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当時から気になってて、今改めて惹かれてるのはアース・チャーチという志向性。

Sonchyenneの詞にearth churchという単語がある。「アース・チャーチ=地球が教会」というのはガイア思想並みの深みを感じる。この曲をもっとラップにしてとことんこの方向性を掘り下げて欲しかった。

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