RAPして逮捕され、聴いて逮捕され

『キューバ・リブレ ラップで闘う』



これ以上、日本のHip-Hopについて考える前に、まずはこの作品を紹介しておきたい。ほんとたまたまです。ラズパイでレグザが空いたので、今まで見てなかった種類の番組も定期録画=NHKの「BS世界のドキュメンタリー」。色々と面白い番組が多かったけど、その中でもイチオシがこの番組。視聴者のレビューを見ても一目瞭然。ほんとRAPの原点。

麻薬・犯罪自慢じゃない。単に「俺らの国はオカシイところがある」とRAPするだけで逮捕される。家の前でラジカセで聴いてるリスナーも逮捕される。滅茶苦茶だよ。確かにBlack Musicの世界でキューバ移民・難民の人達も一定数いる。けど、キューバ自体はこんな状況なんだね。

この番組を見た後だと、アメリカ本国のHip-Hopについても、たとえそれがギャングスタであっても、社会の不条理があるのだと思ってきた。一応の自由は達成されており、社会の底辺にいるのはある種の自己責任とみなされる。けどさ、どんな状況に置かれても正しい選択ができるのはよっぽど強い人だけだって。誰だって間違った状況にいれば間違った選択をするんだよ。そしてどんどん酷くなる。けど、最初の間違った状況は絶対に本人の責任じゃない。

世界のドキュメンタリーシリーズでは、チャーチルやヒットラーの特集番組もある。やっぱり両者とも演説の才能あるね。そりゃ今のビジネスマンだってプレゼン能力は鍛えるけど、演説とプレゼンは違う、と番組見ながら思った。

陶酔するリピートか、うざいリピートか
プレゼンは画面に情報を投影するから見る人は視覚・聴覚の両方で情報が入ってくる。けど、今の日本の街頭演説を見てのとおり演説は基本声だけ。チャンネルが1つしかないから情報伝達路の幅が狭い。大事なフレーズはどうしても繰り返す必要がある。ここがセンスがでる点でありRAPとの接点。音楽の才能というよりもメッセージを紡ぐセンス。それはお笑い芸人も同じだけど、Hip-Hopが狙うのは《笑い》という感情ではない。ある種の憤りが一番近い気がする。

北朝鮮は問題外としても、ベトナムやキューバ、そしてアフリカや旧ソ連の独裁者の国々は社会批判が明確に取り締まりの対象。中国もそうだね。そしてアメリカ、日本。日本までくると一見、社会の階層がほとんどない。けど、やっぱりKOHHの足立区は特殊じゃん。そして社会の階層が無いように見えるからこそ、自己責任と見なされやすくなり、その分だけ《社会に対する憤り》をストレートに表現できなくなる。
 進学のお金がない?  →奨学金制度はあるよ。
  返さなくちゃいけない?→成績がよければ大丈夫だよ

って、そもそもその前に、勉強するには静かで邪魔されない環境は必須だから。親がお笑い番組やスポーツ番組見ているのと同じ部屋で勉強なんてできない、させるな、しろというな。こんなんじゃデーター数少なすぎこっちの方がまだマシ。

基本、どんなジャンルであっても内省的なタイプの方が好きだけど、それでも吼えるべきポイントはある。やっぱり日本だって社会に対して吼えるべきポイントはある。KOHHはその見極めが凄い、となんとなく思ってる。本人の生い立ちに結びつく有無を言わせないセンスがカリスマに繋がるのだと。

社会の階層といっても30代前半で年収1000万を越すのは、医者・弁護士・金融関係・メディア関係・外資系。弁護士は大学院制度の人数憎で脱落。金融関係も昨今の仮想マネーや支払い方法多様化等で脱落。メディア関係もNetflix等で終りの始まり。医者はもともと時給換算だと悲惨。外資系は短い期間だけ(日本企業だってリストラ等あるけど)。この先は日本の社会階層も下に引きよせられつつ差が縮まると思っている。

逆に地方と都会の差は酷くなる。例えば今話題の水道事業の民営化。この先、地方では水道を維持することも困難。お盆と年末年始の帰省ラッシュは日本だけでなく中国等でも話題になるけど、どの国でも都市に集中するのが今の時代。昔の若者は地方で生まれ、就職等で都会に来て、都会で子供を生み、長い休みに地方に帰る。けど、あと20年もすれば、地方で生まれた若者が珍しく、年末年始に帰省する場所もないくらい。周囲を見渡すと今は40%ぐらい地方に帰省しているかな。

これだけ登山に行っていると中央道は年に15往復ぐらいする。いつだって日曜夜の上りの渋滞は酷い。都市に集中しすぎてる。その分だけ地方に人が減って、競争力の有る観光地以外は全部人が住まなくなるんじゃないかな。日本に来る外国人が三千万人を越した事。地方への観光が伸びていること。鳥取観光って行ったことある日本人のほうが珍しいのでは? あそこまで外国人が来てくれるからこそ、地方が維持できている状態になりつつあるね。フランスがあれだけ大国なのも、何よりも観光大国だから。日本もその方向に舵を切るべき。移民の受け入れは個人的にも結論出てないけど。

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なんか大幅に話がずれていますが、ほんと今の良い歌手はカラオケにないね。
「今日はHIDEさんとコンサートなんで定時ダッシュだから」「誰のコンサートなんですか?」「ShunskeGって知らないか。さかいゆうって知ってる?」「いいえ」だからなぁ。良い曲を作ること、皆が知ってること、両者の関連性はもう断絶。だからカラオケにも無い。KOHHもなかった。EVISBEATSは1曲。けどSEEDAはかなりある。だからSEEDAの「花と雨」は買うことにした。トラックに捻りがあって歌詞が深い事。欲望を煽るのでなく、かといって必要以上に自己責任にすることもなく。歌と違って詞における言葉の量は多いから思考のパターンがより明確になる。そこにお勉強とは全く別の頭の良さを感じさせること。KOHHのあの曲は、「世の中は金だよ」「いや、金じゃないんだよ」の揺れ幅が素晴らしい。両方ともに彼の心の奥底まで刻みこまれている真実がある。それは平均年収以上の家庭に生まれた子供には絶対に出せない深みであり、本当の友達がいる証。

BS世界のドキュメンタリーは再放送があった。Hip-Hopを本気で追っかけている人は、いつかの再放送をチェックして欲しいかも。ある意味、R&Bの世界で喩えるとアフリカのルワンダ虐殺を歌えるコルネイユに近い。アフリカの独裁者の国でラップによる表現がでてきたら世界は一段と変わるね。

他の番組も教養としてもオススメ。これはホントよかった。うちらのようなIT業界の人間は必須。担当者に自殺・退職が多いならば、間違いなくSNSの闇であり病みだよ。巨大SNSプラットフォームをもつ企業が業界を引っ張る昨今だけど、どこかで反転するだろう。その時のために爪を死ぬ気で磨かないと、そろそろヤバイ。

 




コメント
チャンネルを変えていてふとNHKでrap?!と目に留まり最後のちょっとだけみました 曲もそこそこ良かったような記憶があります

若井さんの記事を読んで思い浮かんだのはカリプソというカリブ海な昔ながらの音楽ですね

kawe band - kawe calypso
https://youtu.be/t8bmLhdoKZI

TVもネットもない時代の情報源として街中で歌われていた音楽でニュースにできないような政治批判なども歌われていたらしいです

ブロックパーティーに始まりパンクに対抗する新しい音楽として売り出され歌詞に自分達のヒドい現状や社会批判を盛り込んだ曲がでてから認知されはじめたrapとしてはこのキューバrapは今のパーティーrap?全盛のシーンでは本来の姿に一番近いんじゃないかな
  • yuya
  • 2018/12/31 9:30 PM

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