Johnny Gill - "Chemistry"

「若さ」と「エレガントさ」の狭間で


歌手名を知らずに聴くと誰だか分からない。歌手として上手いのは分かるけど、上手すぎで逆に個性が見えない。MyMyMyが収録された90年のセルフタイトル(3作目)は「エレガントさ」が個性になっているけど、さすがにソロ2作目の本作を発表した85年は19歳だからエレガントさはない。83年のデビュー作は本人の年齢と歌詞世界がミスマッチだった。今回はそういうミスマッチも無いから、余計に誰だか分からないのかも。この歌い方はPeabo Brysonの最良部分のようにも聴こえるから。

Johnny Gillは歌の上手さだけでなく、声に乗せる感情の深さが魅力。特に96年のLet' Get,,,で掘り下げた部分。2000年以降のカムバック作はその深さに裏打ちされた明るさがある。本作は良曲が揃ってる。Johnny Gillじゃなかったら「すげーー」というレベルなのに、Johnny Gillとして聴くと物足りなさを感じてしまう。けど、そういう前提知識を横におけば、かなりの良い作品。

01:Half Crazyの良さ。普通ならこの曲がある時点で傑作になる。こういうタイプの曲は歌手の上手さがダイレクトに出るね。さすがJohnny Gill。特に1:50ぐらいの喉の使い方。こういう声を出せるのはR&B男性歌手の2割ぐらいじゃないかな。個人的には3作目の他の曲と比べても、MyMyMyと並べて聴くと相乗効果が一番出ると思う。それぐらい名曲です。結婚式のバックで流せるレベルだね。

02:Can't Wait Til Tomorrowの良さ。バックの音の使い方では、そのまんま80年代の攻め方をしているMiddle-Upの曲だけどレベルが高い。A、Bメロに抑制が効いているからかな。UPになればなるほど時代性が出てくるけど、この曲は古さを感じさせない。バックコーラスの入れ方も80年代なんだけど、やっぱり時代を超越している。このテンポの曲で緑をつけることは滅多に無いけど、かぎりなく緑に近い赤だと思ってください。03:Don't Take Away My PrideはMiddle-Slowのわりには時代を感じる。懐かしさを感じる部分はJohnny Gillの声の良さかな。

04:One Small Lightはきたよ、80'S UPど真ん中。ところがこの曲も不思議と今でも聴ける。Johnny Gillが上手すぎて発表当時は王道から少しズレたと思うけど、今から聴くとこのズレが入口になる。05:The Way That You Love Meが個人的には一番パスかな。Slow好きとしては06:Because of Youは外せない。プロデューサーはいい仕事している。気になって調べたら当時から絶賛されているんだね。

..For his new album he was teamed with veteran producer and songwriter Linda Creed, who had worked with Thom Bell on the Delfonics', Stylistics' and Spinners' recordings but dropped out of the business for five years to raise her family...
ごめんなさい。Linda Creedのことは知らないのですが、StylisticsやSpinnersと仕事をしてたんだね。子育てで5年間ビジネスからドロップアウトしてのならば、その時に曲を貯めていたのかな。だから、これだけ良曲が揃っているのかも。

アルバムタイトルの07:ChemistryもMiddle-UPなんだけど、抑制の効いた曲構成に深さを持つJohnny Gillの声が映える。有りえない完成度。これも緑に近いと思って欲しい。08:I Found Loveはタイトルから想像できるそのまんまの曲。明るさがいいね。

 

「★祝★ 80'Sの入口 (90年代以降に生まれたナイーブな男の子において)」

これが結論です。

僕にとって80'Sは、メインで聴いた90'Sの隣の時代って感覚だけど、90年以降に生まれた人にとって2010年前後がメインの時代。そこからみると80'Sってすごーく古いんだと思う。特にナイーブな男の子においてはて、80'Sが体現する「明るさ」は全く縁が無い。だから全く聴いてない人も多いと思う。

けど、どこかのタイミングで幅を広げる時はやってくるし、そういう作業をしていた方が他の年代の人とも話しやすくなる。80'Sに青春を迎えてた人は今もう50代中盤なのか。ちょうど新入社員にとっては会社の中でも偉い人かもね。そうであっても、だからこそ聴いておいた方がいい。「一つのジャンルを追いかける」のはそういうことの積み重ねであり、それでこそジャンルを絞って生まれる幅だから。もちろんマイケルやプリンスの方が話題のネタとしては良い。けど「時代に入っていく」という意味では本作が一番の入口なんだと思うよ。計8曲だけど7曲は色つき。それぐらいに完成度は高いです。
 




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