Kenny Q - "Grown Men Music"
ざらついた低い声に映える「やるせなさ」
SoulAtfさんで知った歌手。一度聴いた時から個人的にツボにはまった。このざらついた声。絶賛するほどのメロディーラインではないけど、歌手の特徴にフィットしている。Youtubeの歌を気に入ったらアルバム自体をオススメ。他にも良い曲が多いから。
まず01:Leaving Youは緑とする。この時点で納得できなければKenny Qにもこのレビューにも縁が無いね(笑。02.What's Happening(Ft, LeoManjaro)も良い。明るいとか深いとか精神的な部分での特徴はあまり感じない。声の良さは純粋に好みの世界だし、どんな声になるかも喉と鼻の構成で決まる部分も多いのだろう。声質も確かに遺伝するし、中2ぐらいの時には家にかかってきた仕事関係の電話にでると相手が父親と勘違いした。本人は気づかなくても声変わりした後はやっぱり似るのだろうね。こういう感覚はいまの若い人には無いのかな。仕事の電話も親の携帯が鳴るだけだから。
もし選べるならばタシャウンのようなシャウトをしたかったけど、それと同じぐらいに50歳になったらこの声を出したいと思う。JaheimというかTeddy Pendergrassに代表される声は王道路線だが、このKenny Qの声はどれだけファンがいるのかな。03:Thought I Had A Woman (Ft. Jerz)はトーンが低すぎると思う。04:Swagger Backはちょっとテンテコ風。「テンテコ風」なんて共通語じゃないけど、アジアン風のヘンテコな感じのこと。特にお勧めでもない。じゃあなぜアルバムとして薦めているかは、05:Hold Onがあるから。この声でこのタイトルの曲を歌う。その良さ。
アルバム一作だけじゃ本人の特徴は完全には分からない。けど、皆が歌うフェーズであればあるほど比較はしやすい。その点でHold Onをこの声の表情で歌う。そこに惹かれる。二十歳以下なら男女両方に伝わらないかもね。けど、35歳以上ならば男女両方に伝わると信じている。奥底にやるせなさを感じるから。二十歳以下は切なさを感じることはあってもやるせなさを感じることは少ない。それが僕の結論。
Hold Onは良い曲なのに残念ながら尺が短い(3:02)。06:Somewhere In Lifeの方がより「やるせなさ」が浮かびあがっている。それはタイトルからも一目瞭然。そしてこの曲を本作の白眉とします。それが本サイトの基準。ただ、こちらの方が重いから、普通は5曲目をベストとするかもね。そこまで分かった上で、やっぱり本曲を推す。癒されない痛みが心の奥底に残っている人は絶対にこちらを選ぶと言えるから。
07:You Can Have It All Againは底を潜り抜けた後の明るさにに満ち満ちている。曲のトーンをがらっと変えた08:Representは評価に悩む。09:Where's My Dad (Ft. Link)もそうだね。この言葉をつぶやいたことがある人こそが判断する資格があって、自分には無い。10:I Rememberは懐の深い曲。色んなタイプのリスナーが等しく惹かれると思う。11:The Finestは程よく明るい。1曲目ほど押し気は無いけど、聴いてて心地よい。12:Assumeも好きな人はハマるタイプの曲だと思う。
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Black Musicの作品を100枚以上持っている人が対象なんだとは思う。Youtubeで聴けるからこそ気に入るかどうかの判定は容易い。あの曲を気に入った人には間違いなくオススメの作品です。個人的にはこれだけ良作ならば二作目も聴きたいレベル。ネットで検索してもKenny Gの名前ばっかり出てくるのにはホントうんざりだから、もっと評価が上がって欲しいと思ってます。
- 2016.08.07 Sunday
- 2010
- 17:34
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早速、YoutubeでLeaving you、聴きました。
ソウルフルな歌声で、すぐに気に入りました!
今度、アルバム全体聴いてみます