Javier Colon - "Gravity"

どこまでも爽やかで、どこまでも深く


彼の最高傑作。デビュー作よりも三作目よりも上。朝に聴ける爽やかさがありながら、深夜に聴ける深さもある。この二つが違和感なく一作の中に納められていることが奇跡。Javierと同じくらい爽やかなKenny Lattimoreは2作目で深い作品を作った。けど、その分だけ爽やかさは減衰している。Javierのデビュー作はとことん爽やかだけど、深くは無い。改めて己の爽やかさを掴まえた3作目は傑作だし深さもあるけど、Deepな作品を追いかけてきたこちらが驚くレベルじゃない。だから僕はずっと両方同時は無理なんだと思い込んでた。

Tommy Simsの傑作曲をカバーしたと聞いた時点で、一番の深い作品になると期待していたけど、同時にここまで爽やかさをKeepできるとは・・・ 何よりも素晴らしいのは、前半が爽やか中心、後半が深さ中心なのに、分裂感が無いこと。「二種類の曲群をMIXしました」っていう感覚じゃない。前半の中にも深い曲があり、後半の中にも爽やかな曲がある。単なる曲順の妙じゃない。前半の深い曲は一見爽やかだけど、聴きつづける毎に深さを感じる。後半の爽やかな曲は一見Deepなのだが、聴き続けるほどに明るさを感じるから。これは奇跡のレベル。もともと彼のデビュー作自体が奇跡だった。このレベルの奇跡を二度もできるなんて本当に驚愕している。

このレベルになると色なんてつけない。全部緑でいい。
個人的にはデュエットの08:For A Reasonだけは普通だけど、それ以外は本当に緑でいいと思ってる。今ならMp3vaで買える。Javierを全く知らない人はMp3vaで安く買えばいい。Javierを知っているならばやっぱりアルバムとして買って欲しいかな。彼が次回作を発表できるようになるために。
07:Hard Wayから深化する。このタイトルは前回は出来なかった。前回の成功がこのタイトルの曲を発表する勇気を与えたのだろう。

成功によって余裕ができる。その余裕の使い方。その余裕に見合った人間性を持ちえているのか
この問いかけへの完全回答。彼の声の表情も最高だが、曲自体のレベルも凄く高い。総合プロデューサーのJohn Burkはものすごく良い仕事をしている。「Tommy SimsのIt Don't Matter To The Sunを収録」と教えてもらった時はアルバムの最後の方だと勝手に想像していた。なのに9曲目で歌う。次の10曲目はWalkin'で、11:Never Know、12:Walking Blindだからタイトルを見るだけでその先の歩みが分かる。最後はハレルヤか。最近、モハメド・アリが亡くなったけど、ブラックムスリムに辿りついた彼と比較すると、ここでハレルヤを持ってくるJavierの正統さを思う。悪い言葉で言えば「良い子ちゃん」だけど、彼にとっては凄く素直な言葉なのだろう。
 

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運命の波を生みだすもの


投稿が遅れたのはアルバムタイトル曲の存在。このアルバムの真の価値は05:Gravityにある。購入前は「珍しいタイトルだな」と感じただけだった。曲名として珍しい。調べてみたら自分が持っている15093曲の中で、同一タイトルはジェームス・ブラウンだけ。この単語が入っている曲もMaxwellの'Gravity - Pushing To Pull'とP.M.Dawnの'My Own Personal Gravity'のみ。そこまで珍しい単語なのにアルバムタイトルにまで選んだ。

この曲があるからこそ爽やかさがメインな前半の深さが際立っている。そして突き詰めるほどに本作の中でこの曲が一番深い。アルバム後半のDeepな曲よりもこのGravityが深い。Javier自身も分かっているのだろう。だからアルバムタイトルにしたのだ。それだけ大事な曲なのに、この曲だけは分からない。。この先、1ヵ月聴きつづけても無理。やっとそれを認める勇気になった。デビュー作で圧倒的な爽やかさを見せられて以来、理解の範囲内であるのが唯一の僕の心の支えだった。Javierの爽やかさはまったく手が届かない地点。けど、彼が何を知っていているかは分かる。これまでの全作はそうだった。けど、このGravityは無理です。Gravityって重力だよ、重力。え? 重力?

これだけ沢山の作品を聴き込んだ立場で断言する。今までこの軸でこの地点に来た人はいない。この曲が最高地点。この先百年レベルで残るかもしれない。 この曲を真に体感できれば運命の波の奥が分かるだろう。。今まで「仕事DEEP」はTommy Simsだけだったが、この作品はこの軸でもTommy Simsを越したかもしれない。それだけJavierの達成できたカムバックは偉大なのだ。

目の前に歌詞カードがある。この曲だけは歌詞を見たい。そしたら歌詞を通じて彼の達成した地点を理解できるだろう。けど、それをしたら僕は一生、彼の爽やかさの地点にいけない。言葉というのはそれを支える言葉にできないもの(今回の文脈で言えば雰囲気)があって、初めて意味がある。言葉だけ知っても、無言でその言葉が相手に伝わるようにならないと、逆に言葉と雰囲気のミスマッチが余計に違和感を引き起こす。Kenny LattimoreとJavierに導かれ、問題外のスタート地点からちょいマシなレベルにやっとなれた。ここで諦めるちゃいけない。気を抜くと逆回転する。前に向いて歩く事だけがそれを押し留める。だからこの歌詞カードは見ない。見ないで分かるのには1年はかかるかも知れない。本当に自分に縁遠いならば、この曲の存在に注目することさえしないだろう。ここに注目したことは可能性が零ではないということ。それだけを心の支えにして聴き続けなければ。

ということで、ごめんなさい。Javierのレビューはここまでです。

 




コメント
おっしゃってる事分かります。全アルバムの中でも最高レベルですね。ポップだけどポップじゃないみたいな。声にも深みが出てるような気張ってないというか。去年はベイビーフェイスやカルビンリチャードソン、ケニーラティモアとか久しぶりに豊作で今年はイマイチかなって思ってましたけど今年のベストですね。涙が出てきそうになるアルバムは久しぶりでした!
  • あつし
  • 2016/11/09 11:24 PM

想いのこもったコメントだったから、そのままで置いておきたかったけど、流石に数ヶ月経過したから。

確かに仰るとおり。
「年に一度は泣けること」
それがジャンルを追っかける本当の意味だと僕も思ってます。
  • 若井寛
  • 2017/03/27 11:29 PM

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