Raheem Devaughn - "Love Sex Passion"

肌の裏側で崩れている人たちへ  【Soulの深み】 



誰でも気に入る曲03:Pretty Lady (Feat. Trombone Shorty)から、とことん聴く人を選ぶ曲(06,07)までが収められているRaheem Devaughnの最高傑作。そして、現時点で誰よりもSoul Musicを背負っているのラヒームなのだ。ここまでホメるのはBlack Musicファンの中でも僕だけかもしれない。けどさ、Jaheimの最近の作品は彼自身の最高傑作と言える?マクナイトだってそう。彼らも一時期はSoulを背負っていた。けど、人はそんなに何作も傑作を発表できない。現時点においてSoulの高みに届くレベルで己の最高傑作を発表しているのはKenny Lattimoreとラヒームだけでしょう。

今まではラヒームのコアを捉えることが出来なかった。逆にJaheimはデビュー作の「ともしびを渡そうとする人」。彼の本質は良い意味でデビュー当初から変わってない。同じぐらいにラヒームを掴まえたく、ずっとそれができなかった。けど、この最高傑作を聴いてやっと分かった。ラヒームは「肌の裏側で崩れている人」の代表なのだ。第一印象は普通なんだけど、心の奥にある種のモノを抱えていて、それがJaheimのように完治してなく、その影の揺らぎが根源的な切なさになっているJaheimは誰が聴いても大丈夫だし、とことん包容力があって優しい。けど、RaheemのDeepな曲は普通の人が10回連続で聴いたら逃げ出す。それぐらいの乱暴さがあって、そのラインを踏み越えた者だけが感じるSoulがある。

Black Musicにハマル人は何かを抱えている。そのラインがアルバムで30枚なのか100枚なのか、それは別にどちらでもいい。抱えているモノが幼年時代なのか現在なのか、それもどっちでもいい。歌手側でもそう。幼年時代が浮かぶ人もいれば、今の行き場の無さが浮かぶ人もいる。そんな中で、ラヒームが紡ぎ出す《人にとって必要な何かが欠けているからこそ表現できる想い》の方に惹かれている。デビュー作はちょっと変わったレベルだったのに、2作目:Love Behind The Melodyから己のコアを表現するようになった。あの作品の13:She's Not Youに惹かれない人は本作も聴かなくていい。このラヒームの声に根源的に惹かれる人は同じタイプであって、「肌の裏側で崩れている人」という言葉が体感として正しい事を分かってくれると思う。見るだけで変人と分かるのは問題外。肌の外側はあくまで普通ラインを保ってこそ、内側の喪失感がある種の魅力になる。本作を通じてやっと言葉に出来て、凄く嬉しい。
 

まさか誰かの曲を聴いててDonny HathawayのLittle Ghetto BoyとWe're Still Friendsが浮かんでくるとはね。。こういうのはやめて欲しいのだけど。R. Kellyを参照するぐらいならいい。まだいい。けどDonny Hathawayの底はやばいんだよ。まったく。今でも一番乱暴なのがラヒームか・・・。2013の前作は駄作で安心してたらこれかよ、おい!

04:Qeenから少しずつ重くなる。05:Nothing Without Youは曲の途中のバックコーラスが不安感を押し上げる。06:When You Love SomebodyこそがDonny HathawayのWe're Still Friendsを継ぐ曲。この曲がどれだけヤバイことをしているのか、どこまでの人が理解しているのだろう。マクナイトとStevie WonderをMAXで聴き込んで初めて分かる。Donny Hathawayだけ土管が無い事が。Raheem Devaughnはこの泥沼における土管の無さを受け継ごうとしている。マジかよ・・・一歩間違えたら発狂して廃人になるぞ。

07:All I Know (My Heart)の良さ。まさか前曲から一歩踏み込んで光を召還するとは。この曲が一番あり得ない。まさしく驚愕。フェーズは違うがMarvin GayeのAnna's Songの先を見せてくれたようなもの。回りまわって己の心を土台にして立つ姿とでもいうべきか。僕はこの曲の凄さを未だに40%ぐらいしか分かって無い。けど、この曲こそが答えなのだ。この曲を天国で聴いているDonny Hathawayは何を思うのだろう、ね。

一転、明るくなる08:Terms OF Endearmentも構成上の良さがあるし、11:Never Never Landはかなり惹かれる。12:Temperature's RisingはR. Kellyへの参照が心地よいし、13:Sun Proof Room(50 Shades)も良曲だし、15:Countdown To Loveもナイス。16、17も。

ただ、アルバムの重心は05-07の3曲。この3曲があればそれだけで人を救える。殆どの人には重すぎるからこそ、リストカットとか物理的に自己を傷をつけないとすまない人ほど、この曲を聴き込むべき。明日はその先にある。
 

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