「悲しみは娯楽にしなさい」 by苫米地英人

悲しい出来事を思い出して、悲しみにくれる事は、その人しか出来ない娯楽です。それを記憶から無理に消し去ろうとしなくていいのです。ただし、悲しむために時間を浪費してはいけません。自分がやるべきことをちゃんとやって、悲しむゆとりのあるときに、悲しめばいいのだと思います。それは、映画館に悲しい映画を見に行くのと本質的には同じ事です。本当の悲しみの記憶が無い人は、わざわざお金を払って映画館に行き、他人が演じる悲しみに感情移入しなくてはいけないのですから。

相変わらず過激なことを言う人だけど、この本:「イヤな気持ちを消す技術」はスゲー。脳科学的な知見に基づいた解説も楽しいけど、P129のこと文章が一番ぶっとんでる。評価が割れるというか毀誉褒貶の人だけど、以前にBlog2で紹介したあちらの本とこの本は本当にオススメ。内容的にこの本はこちらで紹介します。

この21世紀、苦しい、辛い、怖い、悲しいという記憶はすべて娯楽になったといえます。なぜかというと、マイナスの情動はいま、ほとんど必要がなくなっているからです。たとえば、その昔は、恐怖にはたしかな役割がありました。火が怖いということで、火を恐れ、火を避けました。暗いところでは何かに襲われたりする危険性が高いため、暗いところを避けました。これは本能によるもの。つまり生得的なものです。しかし、現代では危険をさけるために恐怖を必要としていません。
《略》
人間は言語を発明し、ある程度前頭野が進化することによって、言語空間かつ情報空間にリアリティを感じる事ができるように進化しました。そのため、私たちは、直接的な失敗の体験を必要としなくなりました。《略》 恐怖という危険を避けるための道具は、時代遅れになり、いまや大して役に立たなくなっています。その大して役に立たない情動に囚われ、それが人生を前進させる力を殺(そ)いでいるとしたら、私たちにはそれを思い出さなくてはならない必然性がありません。では、必要ないからやめるかといえば、そんなことに時間や労力を注ぎ込むこともありません
《略》
人間にかかわるもので、今はもう必要ないものはたくさんあります。たとえば、髪の毛です。人類はもう、髪の毛を必要とはしていません。昔は髪の毛も体毛も必要があったはずですが、いまでは頭が禿げているという理由で死ぬ人はひとりもいません。《略》 では必要性を失った毛が身体から生えていると悪いかといえば、そうではありません。髪の毛についていえば、どう考えても必要性がないものに対して、わざわざ色をつけたり、曲げたり伸ばしたり、いろいろなことをしています。それが、ファッションであり、広い意味での娯楽です。
《略》
それと同じごとで、情動にも、娯楽という新しい役割が与えられました。だから私たちは恐怖映画を観て、あるいは遊園地のジェットコースターに乗って、恐怖を楽しみます。


確かに、恋愛小説や恋愛ドラマを見たがる人は、自分自身において恋愛の記憶が足らない面はあるのだと思う。00年代にオバチャマたちが冬ソナにハマっていたけど、結婚して子供も生んでから恋愛にハマルよりはTVドラマにハマった方がいい気がする。けど、若いうちから恋愛小説・恋愛漫画・恋愛ドラマにハマるぐらいなら、「現実で行動しろ」というのは一つの正しいメッセージになっている。顔の作りを主眼にすると一定ライン以外は恋愛に縁遠くなるけど、美人とイケメンの恋愛もブスとブサメンの恋愛も、恋愛において差は無いのだから。顔やスタイル以外の好みを明確化する努力はした方がいい。
 
恋愛の強さにも色々と差があるけど、やっぱり生存本能が脅かされるぐらいの痛みが本物だと思っているのも事実。「別れて体重が減った」程度なら男も女もあって当然だし、それぐらいの経験が無い人は、一生疑似体験としての作品にハマるのだろう。食が細くなるような体験を娯楽といえるレベルまでもっていくのは大変だと痛感しているのも事実だけど、忘れる努力は人生を貧しくするとは昔から思っていた。この本では毛とファッションから美容師という職業が生まれたと書いてあるけど、ならば「悲しみにおける美容師」というメタファーもありなのかもしれない。

自分が抱えている当時の情景を「娯楽」とは表現したくはないけど、「悲しい懐かしさ」から「懐かしい悲しさ」になっているのも事実。「悲しみを糧(かて)にしなさい」と「悲しみを娯楽にしなさい」の間に、今の自分が本当に腹落ちできる《ことば》があるのだろう。 けど、一つの捉え方として、この本は面白かった。海馬と前頭野の話とか、洗脳されると発火する宗教のツボとか、色々と興味深い話が多くて、全体としてオススメな本です。

 



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