Devante - "The Renaissance"

00年代デビューの最高男性歌手



昨年から本格的にインディー系を聴きこんでいるけど、やっぱりDevanteが一番。インディーという枠組みでなく、00年代以降にデビューした歌手の中で最高だと思う。03年にカルトクラシックとなったReady or Notを発表し、本作で4作目。今のご時世ではメジャーもインディーも大した違いがない。コンスタントに作品を発表して、そのどれもが完成度が高い。その上でメロディーメイカーとしての才能。処女作の突き詰め度合いはBrian Mcknightレベル。ならば、素直に00年代の最高男性歌手と認めていいと思う。

声は特徴的ではない。しゃがれ声でもないしシャウトもしない。けど、楽曲の才能は間違いなく高い。そして何よりも志向性において90年代でも通用する独自性を持っているから。それ位に処女作のReady or Notは凄かった。今からでも遅くない。ジャケだけ直して、本人の奥底に光を当てるノーツをつけて本国でメジャーデビューさせるべき。本作のThe Renaissanceは彼の4作目となる作品。別名(David Verity)に変えてリリースした3作目のInexorableはまだ聴いてないけど、2作目のThe Foundationと本作を聴けば才能は十分に分かる。このジャケのように内省的な手触りの曲を作らせたら間違いなくピカイチです。

 
「今の音楽シーンで最もひどいことは、世の中にあまりにも沢山の物が出回りすぎていて、人々がある特定のアーティストのファンであることに興味をもっていないということ。それより1つのジャンルのファンである人が多いんじゃないかな。昔は一つのバンドやアーティストにとても忠実なファンがいたけれど、今は特定のアーティストへ対する忠誠心はなく、ある一定のスタイルに惚れ込んでいる場合がほとんどだ。現在のアーティストの90%が全く同じサウンドを持っているからだろうね。その上インターネットで無料で音楽にアクセス出来てしまうから、音楽を買おうという気にならない。それは僕のようにグラミー賞を持っていなかったり、ラジオで曲を流してもらうために大金を出せないアーティストにとって本当に痛いことなんだ。人々が音楽をサポートしてくれないと、アーティストは苦しむ。これからそれが変わってくれることを切に願っているよ」

CDのライナーノーツに本人の発言があったけど、至極納得。マクナイトでさえ3作目がグラミーのノミネートどまりだから、Devanteがグラミーをとるのは無理だろう。それは本質的に「明るい万人ウケをする曲」を作れない作家にとっては困難な世界。ただ、ラジオで曲を流してもらうお金がなくても、ファンが周囲に勧めると思う。一般的なスタイルの枠から逸脱する個性があって、それが光っているから。本サイトに00年代最高歌手と褒められるのがどれだけセールスに結びつくのかは分からない。処女作は気合を入れたレビューを書いたつもりだけど、余計に避けられる結果になるのかも・・・。けど、間違いなく君はR&B-Soulの歴史に名が残る。それ位にあの処女作は凄かったから。内省的な男性ならば一定数はあのフェーズで言葉を発すると思う。個人的にはstillでの場面はなくてもWhenever You Callは分かるし、相手が非常にイヤな顔をしていた遠い記憶がある。だからこそ、その方向性を極限まで突き詰めた態度に賞賛するから。


おっと、本作の紹介に移ります。

「知り合いに薦めるならば本作が一番」
これが素直な感想。処女作の「地面が割れるまで突き詰める」ような怖さは無い。アルバム全体のレベルは2nd:The Foundationよりも上。3rdはエレクトロ調があったりするらしいので、本人らしさ&聴きやすさでいえば本作になるでしょう。一番気に入ったのは04:Now & Laterです。聴いた瞬間に懐かしい感じがするのは過去の名曲のバックトラックを引用しているから。西崎氏のコメントが無いのは「気づいてないのでは?」と思う。シングルカットされなかったからなぁ。この元歌が分かったらウチのサイトから何かプレゼントしちゃいますよ。っていうぐらい。90年代デビューの超有名歌手だけど、この曲こそが最高傑作だと思っているから。こうやってサンプリングしているDevanteも同じ価値観なのだろうし、それがたまらなく嬉しい。

自分が本気で好きになった曲を聴きながら、同じように本気で好きになった歌手が育って、作品を発表してくれる幸せ
R&Bを聴き始めて20年以上、サイトを始めて10年以上だけど、こう痛感したのは始めてかもね。願わくばLoose Controlかな。この曲の良さと深さを気づいてくれる歌手が今後デビューすることを願っています。

と、個人的な趣味丸出しは横に置くと、一番一般ウケするのは10:Wrong or Rightだと思う。Devanteらしさが詰まっていながらも窓口も広い。こういう手触りは本作まで無かった。この曲の存在が03年のデビューからの年月なのだろう。歳を重ねないと作れない曲がある。本曲が一番、彼の成長を感じる。10:I Doは大味のバラードと感じるけど、窓口を広げるのにはいいのかもね。01:Get U Homeも曲の完成度と窓口の広さが素晴らしい。内省的な面が後ろに下がって、いい意味でアクティブな色気を感じる。02:Climbinもナイス。05:Set It Offも個人的に好き。

Devante本人の人生において一番大事なのは06:Miss Jonesです。
やっと別れた痛みをストレートに表現できているね。それが出来なかったのがReady or Notだから。今までで一番吼えている。これこそがシャウト。10年経って始めてストレートに痛みを出せるというならば、まるでStevie Wonderのロケットと同じだね。ちょっと微笑ましくなってしまった。本曲を聴きこめば真のファンになれる。それは間違いないのだが、個人的にはちょっと重いかな(笑 バックの音が重い。こういう場面でこういう飾りをつける人なんだね。マクナイトとは違うね。それが興味深い。07:Good for Meも同じテンションで吼えてる。ここら辺が一番嬉しいのかも。恋愛は終わった後も進んでいく。相手が二度と振り返らないのは痛いほど分かってても、それでも自分自身は見詰めなおす。その月日の中で、新しい自分が見つかる。それがシャウターとしてのDevante。下手にエレクトロ調なんかしなくても、人間的に成長を続ければ新しい音楽性は自然と浮かび上がってくるから。それこそが本サイトが絶賛する歌手。


やっぱりDevanteは別格。
そう痛感する内容で凄く嬉しかった。今回はジャケのレベルが凄く高いのも嬉しい。見開き裏の写真もナイス。この写真でRedy or Notを再発売すれば間違いなくメジャーシーンにいけると思います。

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DevanteにこだわってYoutubeに投稿しているsengoku aizuさんは何者なのだろう?「よろしくま」という名前のおちゃめなゆるキャラといい、どうみても日本人。結構気になる(笑 時間で出来たらチャンネルを聴きこんでみようかな。こういう風に熱心に紹介するファンがでてくるのだから、Devanteの未来も日本のR&Bリスナーの未来も明るいと思う。その事実が一番嬉しいかも。


 



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