Joe - "New Man"

聴きこむほどに核が見える傑作


傑作の誉れ高い09年のSignatureの前の作品。13-17曲目はダイジェストとしてSignatureの曲が1分半ずつ収められている。その時点でやる気を感じさせないのだが、思った以上に作品のレベルは高い。

07年のAin't Nothin' Like Meは完全にパスだが、本作はJoeのファンなら聴いていいと思う。個人的な位置づけではMy Name is Joeと同じレベル。アルバムチャート3位もこの時期の歌手の作品としては褒めれると思う。Amazon中古で500円以下なら即買いしていい。聴き込めば「作品を掘り下げて本人の核に近づく」体験ができるから。

01:E.R.はミドルの良作。シングルカットされたのも納得。02-05の曲群はJoeにとっては平均点。これが平均というのも凄いんだけど、やっぱり平均。06:I Won't Let Him Hurt Youのヘンテコなバックトラックは合わないのだが、歌い始めのJoeの声の表情がナイス。曲の途中では売れ線をオーバーする吼えっぷり。この曲にこそJoeの個人的な部分がある。この部分が出てくると売れない。けど、本当のJoeはここにいる。以前に「この世には売れないけど聴くべき曲がある」と書いたけど、それはこういう曲を指す。デビュー作と比べても、今までJoeの中で一番吼えている。

Joeみたいに日本に沢山のファンがいる歌手に対してここまで断言するのは気が引けるが、去年やっと彼の1stも2ndも完全に聴きこめたから。その場所から見ると、この歌いっぷりこそが真のJoe。あんまりJoeの日本コンサートは興味ないのだけど(汗、この曲を歌うならば行く。けど、コンサートじゃ歌えないと思うな。コンサートでDeepにかっ飛ばすMaryJ.でもAMは歌えないと思うから。

アルバムタイトルにも選ばれた07:New Manはそこそこ売れ線。不遇の時期を潜り抜け新しい自己を手に入れた。実際の大ヒットは次回作のSignatureだから、このアルバムは脱皮する瞬間とでもいうべきかも。曲自体そこまで傑作ではないのだが心意気で赤。08:Start Over Againは傑作。上手く言えないけど、これこそがNew Manにならないと歌えない種類の曲なんだと思う。傑作とは分かるのにどんな心象風景も呼び起こされないから、これ以上何も言えない。ということは、僕自身はNew Manになったことが無いのかも。。うーん、結構この結論はショック大なんだが。

誰かが一緒にいる時なら間違いなくSignatureだが、独りで聴くなら間違いなく本作を選ぶ。本当に売れた傑作を聴きこめばその10分の1の輝きは身にまとう事が出来る。第一印象を良くしたいならオススメ。けど、付き合うほどに奥の道が見えるような内面性を身につけるなら本作。第一印象が本当に変われば、その変化はしだいに内面にも染み込んでくるから、Signatureを聴き込む事に否定的なワケではない。ステップの違いかな。

09:Sorryは今の自分の地点では何も言えない。言えない事は言わない。こういう判定を曖昧にしてると明日が来ないから。10:Heart Behind My Eyesこそが内省を伝える曲。内省について色々とコムヅカシイ事を書いてきたけど、この曲を聴くのが一番いい。

内省とは、突き詰めれば、シンプルな目の前の事実を受け止める事。
それこそが自分の心を掘った出口にあるもの。
トンネルを抜けてみたら、相手が置いていった一つの事実が、ぽつんとあった。

あれ?いつから置いてあったんだっけ?
そうか、ずっと置いてあったのに、僕の感情が視界を覆っていたのか。

だからタイトルをMy Eyes behind my Heartにすべきなんだと思う。もちろん気づいた瞬間はheart behind my eyesになる。けど、ずっと視界は感情に覆われていた。その事実を分かりやすく伝えるためには逆転させた方がいいと思うのだけど。

「目で見たものを、感情が受けとめる」という理解は当然なのだが、想像以上に感情は覆いを被せる。僕自身、あと何枚ベールが被さっているのか分からない。剥がす方向に歩いているつもりだけど、日々の仕事の忙しさとかにかまけてどんどん被せているのかもしれない。けど、この曲の良さに気づけるのであれば、まだ明日は見えていると感じる。

11:Chameleonもナイス。10と11はセットな感覚。12:Heavyは他の歌手と比べても日本盤ボーナス曲の中でレベルが高い。Joeの王道曲に加えて細部の装飾に拘った曲なのだけど、その拘りがイングリッシュングリッシュガーデンのような紋様でなく、小さい花びらを重ねていくような雰囲気なんだよね。この曲からは確かに日本の美意識を感じる。素晴らしい。

「え、それだけJoeが好きで、それだけアルバム持ってて、New Manは持ってないの?持ってても数回聴いただけ? そりゃもったいないなぁ」

本作から06,08,10を抜き出してとことん聴く。これが作品を通した対話。こういう対話はSigatureでは出来ない。いや、06-12で聴かないとsorryが一生分からんままかも。

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さすがに「タイトルの単語順を変えろ」はいいすぎなので、もうちょっと補足。この世の対立概念は極限をとると同じ地点に行く。だからこそ環なのだし、その部分を通り抜けている作品にとって、順番は光の当て方の違いだけだから。AFLALFはそれ自体を示しているけど、このHeart,Eye,Behindも同じ。

15年前のGood Girlsもそうだった。周囲に誰一人同意してくれる人がいなくても、作品と自分自身を掘り下げた方を選ぶ。あの時の賭けには勝った。Corneilleの選択が最後のダメ押し。本作の緑曲はどうなるんだろうね。結構楽しみ。

誰も傑作と思ってない曲について、理由込みで傑作と認定した初めての人は勝手に決めていいんだよ。こういう勝手な事をする人がもっと増えると楽しくなると思ってます(笑 

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単に今日は、「そろそろjoeの新作買うかぁ。Signatureの次のThe Good, the Bad, the Sexyは完全にパスだったけど、今年発売のアルバムはamazonレビューみても期待できそうだし」「あ、後半にキラリと光る緑曲があったNew Manを先に書いておくか。あれってどの曲だったけ?」ぐらいの気分だったのに。

書きながら掘り下げれることってある。こういう時の充実感は何にも代え難い。
だから緑タイトルも佳作→傑作に書き直した。
冒頭の部分も直すのは大変だから残しておくけど、当然My Name is Joeよりも上。

前回、 All That I Am、Signature、Better Daysとしたけど、うーん、もしかしたらこの作品がTOPかもね。若い人にはSignature→All That I Am→Better Daysの順で薦めるが、35過ぎた今はこの作品をTOPにしたい。じゃないと、あの優しい内省感に一生たどりつけないから。デビュー作の失敗から2作目のカムバックまでの間にある成長は、30歳を越した立場ではそんなに参考にならない。けど、このNew Manは本当に一歩一歩なぞるだけの価値があるよ。


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[08/31]
改めてSignatureを聴きました。やっぱり薦めるならばSignatureかな。All That I Amはあの当時、友達に貸したら「なんか声がイヤ」と言われたことがある。ちょっとエロ過ぎるかもね。だからどちらを薦めるかは相手の年齢かな。25歳以下ならAll That I Am、それ以上ならSignatureから聴くのがいいと思う。 ただ、個人的にはこのNew Manの08,10の2曲の価値が高くて。マクナイトのように内省派では無いJoeだからこそ、彼の内省的な曲の価値がある。




コメント
こんににちは。
自分は2nd〜現在のものまで通して聞いてほぼ全部アルバムも持っているのですが
このnew manだけは通して一回も聞いていません。
トラックリストも見たことないかも!
なんかこのジャケットがダサくてイヤって理由と
、直接彼が関わっていないというそれだけの理由からだったのですが...苦笑

My name is joeを超えるというなら聴くしかありませんね!
newアルバムは前回のガッカリ感を拭い去ってくれるかと思います
  • susie
  • 2013/08/18 10:44 AM

susieさんこんにちは。

確かにジャケは格好つけてる気がします。個人的にはAin't Nothin Like Meのドアップ&ウル目の方が合わないかな(汗

ファンであればあるほど、01はOKとしても02-05でネガティブ判断になるかと。私もずっとそんな状態だったので。06はせっかくの歌いっぷりとバックトラックが合ってない。他人が提供した曲だとこういうミスマッチが多くて、真の傑作にはならない面が大きいと思ってます。

けど、そういう時の方が心情が前に出てくるような(曲に任せてられないからより訴えたくなる?)気がしてて、意外と好きです。

サイト運営していて、一番心苦しいのは、「じゃあ買ってみた→全然納得できなかった」なので、susieさんみたいに持ってて棚に埋もれている場合は、ちょっと心が軽くなるかな(笑 まあ最終的には、「僕は気に入った」の世界だから、しょうがないんだけどね。それでも、皆が傑作と思わない作品を傑作と訴える時は、内心ドキドキしている部分はあります。

客観的に見ても06は吼えてます。それだけが唯一の心の支え(笑 10を気に入るかどうかは純粋にタイプで分かれるかな。個人的には10はsisqoのimcompleteに手触りが近いと思っています。

歌手が成長するという、その瞬間はsignatureよりも本作の方が見えやすいのは確実ですが、一般的にはそういう瞬間を求めている人の方が少ないのかもしれないです。

私みたいにあまりに大量に聴きすぎると、一般的な傑作で飽き足らなくなる部分はあるので、そこら辺は本サイトに来ていただいている皆さんは適度に調節して受け取って欲しいと思ってます(言われなくてもそうしてると思うけど/笑)
  • 若井寛
  • 2013/08/18 11:35 AM

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