Eddie Levert - "I Still Have It"

失う事の無い熱さ



これまでも歳を重ねた大御所の傑作を聴きこんできたけど、本作が一番熱い。大御所である限りSoulを感じるのは当然だけど、エディーだけは有りえないレベルの熱さを感じる。42年生まれだから本作の発売時は70歳。70年代のO'jaysの作品と並べて聴いても違和感無いレベルの熱さは驚愕の一言に尽きる。

最近で言えばBobby Womackの作品も良かった。あの作品は全編を貫くカムバックのトーンが心を打つ。このアルバムはタイトルのI Still Have Itが示すように持続感がメイン。2001年のO'JaysのFor The Loveは重ねた年齢が生み出す優しさがたまらなくて、「ナイス・ミドルを目指すには必聴」と書いた。それから11年経って、本作には歳をとるごとに若返っているかのような熱さと勢いがある。

最初はmp3での発売だったけど、このレベルの歌手にそんな買い方はしない。ずっとアルバム発売を待ち望んでいたので遅れてしまいましたが、非常に満足。01:The Last Man Standingからくる。02:Get Over Itも凄い。UPの曲なのにリズムに年代を感じない。今聴いてもマッチするし、70年代といわれてもマッチする。流行の音を極力排除して、歌手の歌いっぷ りだけで組み上げているからだね。03:Lovelyも有りえないレベル。このタイトルの歌をこのレベルの熱さで歌うのか。


熱いといえば全盛期のBobby WomackやTeddy Pendergrassだけど、彼らの全盛期の歌には全盛期なりの年齢を感じる。このEddie Levertは違う。いい意味での年齢不詳。どう聴いても70歳には思えないけど、この声は20代、30代のレベルじゃないから。そんな部分も凄いと思う。

04:Blown AwayからSlowになる。05:I Like The Way You MoveはGeraldが作りそうな曲でなんか泣けてくる。06:What Ifは熱さと優しさの混ざり合いが半端無い。優しさがMAXだったFor The Loveも好きだったけど、10代には合わないだろうなぁとは思ってた。本作は10代から70代までの全員が気に入る。それだけの窓口の広さがある。このバラードがそれを示していると。

07:Don't Get Much Betterは曲のトーンが変わって気楽でアットフォームな感覚がナイス。08:All About Me And Youも個人的にはくる。テンポはゆっくりだけど、とことん吼えながら歌い上げる。メロディーラインは明るく無いけど、声に力強さがある。こういう曲に憧れて、こういう曲が聴きたくて。この歌は「男女の恋愛」という枠を超える説得力がある。Allに時間的視野があって、聴き込むと不思議とBlack Musicにハマった時からの今日までの走馬灯が浮かんでくる。このアルバムの白眉はこの曲です。僕はそう断言したい。

09:I Don't Want To Be The Oneはピアノが綺麗で、08からの連結が素晴らしい。歌詞カードは無かったけど、声に無きが入っていて、この曲こそがGeraldへの想いを感じる。10:Don't Lie To Meは一転、曲が変わる。11:Hate'nはうーん、苦手かな。12:You're Always Thereはアルバムの最後に相応しい。


このレベルの歌手になると、曲に色付けなんて恐れ多いことは出来ません。ジャケの緑の通りです。Black Musicにハマっている人ほど、08:All About Me And Youを聴きこんで、自分自身から何が引っ張り出されるかを味わって欲しいと思う。何かを選ぶというのは何かを選べなくなること。人は全てを同時に選ぶことは出来ない。小さい選択から大きい選択まで、僕らは無意識的にも意識的にも選び続けて生きている。自己を真に描くのは身体的特徴や経歴・年収といった世間一般的な属性では無い。今まで積み重ねてきた決断こそが本当の自己を浮かび上がらせる。この曲はそういう決断の一つずつを浮かび上がらせるだけのSoulを感じる。これだけBlack Musicを聴きこんで初めての感覚。有りえないレベルの感動。

逆に若い人がこの曲に何を引っ張り出されるのか、それは興味があったりする。このアルバムを聴いて、そのまま70年代のO'Jaysを聴きこむのが一番だと思います。個人的にはBack Stabbersを早く聴かないとなぁ。あれO'jaysって5CDは出てないのか。うーん、レーベルしっかりしろ。


そうそうEddie Levertといえばこちらの本も読んでます。洋書はちんたら読んでいるので、なかなか読み終える事が出来ないが面白い本です。これって和訳は発売されていないよね?他のBlack Musicの本よりも英語自体は簡単だと思うので、その点でもオススメ。Black Musicにおいて一番成功した親子は間違いなくEddieとGeraldでしょう。同じだけの成功とは言えない弟のショーンもたまに本の中で出てくるのがいい。




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