Q Parker - "The MANual"

「理想の男性」に近づくために


R&Bでは珍しく凝ったアルバム名だと思う。そもそもアルバムにTheがつく事も珍しい。manualならばマニュアルだけど、わざわざMANualと書くのだからここに本人の訴えたい気持ちがある。一般的に-ualという語尾は形容詞を作るものだけど、他にも形容詞を作る語尾はあるのだから。その中で-ualを選んだ思いは単純な語呂だけではないと思う。

何よりも驚いたのは112の影がないこと。普通ソロデビューって、いい意味でも悪い意味でも所属グループとは違ったカラーを打ち出そうとするものだけど、それを感じない。もちろん10曲目ではCupidをカバーしているのだから112の色が全く無いわけではないのだけど、自然体なんだよね。「本人がやりたくてもグループ内では出来なかった事」を打ち出すのがソロデビュー作なのに、この手触りは何だろう。これまでのソロデビュー作は「グループ時代の作品より幅が狭くなった」と感じる事が多かったのに、この良曲の多さは112の1stの次に気に入った作品。それが本サイトの結論です。

01:The Conversation Introから期待通り。やっぱりBoyzIIMenよりもナイーブ色が強かった112だから、1曲目はピアノオンリーの方がうれしいのは確か。feat. Crystal Nicoleで、男女の掛け合いの曲だが、Q Parkerの声がいいんですよ。112時代は注目してなかったけど想像以上です。02:Show You HowはリズムのあるSlowな曲で完成度がハンパない。

03:Belongs To Youと04:All About Youは個人的にタイプじゃないけど丁寧な作りだと思う。05:Yes Interludeは艶かしい女性の声が印象的だが、思った以上にエロくない。このQ Parkerの声だね。太いとか温かみがあるとかじゃないのだが、妙にかっこいい。Youtubeのコメントで海外の人がStrong Voiceと書いていたが、真摯さ=9、泣き=1ぐらいの手触りで。

06:Yesはちょっとエロく歌っているけど、それでもこのレベルか。07:How I Love Youはヒネリの効いたリズムがいい。プロデューサのSelasi aka The African Kidには曲作りの才能を感じる。Q Parkerもいい感じでラフに歌っているしね。09:Tow Of Us feat. Faith Evansは想像以上の完成度。112時代から良くFaith Evansとデュエットを作っているけど、あれらの傑作と同じレベルだと思う。Cupidの良さは当然として、11:Hold Meもかなりいい。

12:Betterは曲としてはイマイチな分だけ、逆にアルバムの性格が分かりやすく出ていると思う。他の112のメンバーのソロデビュー作を聴いてない身分では断言は出来ないが、もしかして112の内向的でナイーブな部分はこのQ Parkerが担っていたのかも。そう思ってしまう一番の理由が14,15曲目の存在。14:Just Usは曲の最初がQ Parkerという単語から始まる曲で、ある種のナイーブさが表現されている。一番の決め手は15:Completelyだね。

これこそがSwear
R&Bの文脈でSwearといえばAll-4-OneのI Swearが超有名だが、個人的にはあれは歌詞の方が強い。本当のSwearはもっと切なさが必要だと思ってる。その点で本曲は最高。0:30付近の歌い方が特にそう。恋愛においてcompletelyは有り得ない理想だが、少なくともそこを目指して自分を見つめ直す視線は必要。All-4-OneのSwearは若さで押し切る感が強かった。個人的には「いつまでたってもCompletelyにはなれない」現実が分かっている本曲の方が好き。

緑2曲に赤4曲あれば個人的には大満足。09はFaith Evansの助けもあるが、15は純粋にQ Parkerの良さだと思う。僕個人が持つ112への思いと、他の112ファンの人の意見がどれだけ重なるか分からない。けど112の「切なさ」が好きならば間違いなくこのソロデビュー作はオススメです。


アルバムタイトルの議論に戻る。
最初にタイトルを見た時はちょっとネガティブ。そりゃねぇ、「マニュアル」なんてタイトルは偉そうだから。裏面の曲リストを見てタイトル曲が無いことを確認。これはちょっと期待。「マニュアル」なんて曲がある方が失望。Flac保存の時にMANualになって、「え、Amazonではmanualだったけど、こちらが本当?」と思った。

数回聴いた感想ではMANual=MAN+usualだった。アルバム全体として等身大の男性像を感じる作品だから。

あちらのサイトは
「できる」ことには  -able,  -ible 
「多い」ものには -ous
「なんとなくそんな感じが漂うわ~」っていうときは -ish
「傾向や特徴がある」ときには -ive
「何かに関する」ときには -ic, -ical

とまで解説してるんだから「-ual」もして欲しかった。。だから他の-ualの単語と比較する。
gradual、inidividual、actual、continual、spiritualならば、何かが見えてくるような。個人的には「-ual」→「名詞の中からコアを抜き出して形容詞にした」ような感覚をうける。

少なくともmanableは男としての押しが強すぎ。manousは男が多すぎて男臭い。manishって男性っぽい女性に使うような。maniveもmanicalもなんかなぁ。やっぱりinidividualやspritualに-ualが使われているから-ualを選んだんだろうね。

manualと被ったのを良しとしたのは「自分自身は理想の男性像を追い求めてきた」と言いたいからじゃないかな。それをアルバムの締めにもってきた15:Completelyとするならば、凄く納得できるんだよね。特に14:Just Usと並べて聴くと、その意識を強くする。

最終的に残ったのはTheがついた意味。
この世の理想の男性像は一つなのか。各自に各自なりの理想像があるのか。

個人的には後者かな。理想を求めることは、有り得ない事を夢想するわけでもなく、完全に手に入らないことについて悩むわけじゃないと思うから。HP時代でも紹介しているトルストイの「幸せな家庭の形は一つだけど、不幸な家庭にはそれぞれの形がある」という意見も分かるけど、「全てが揃う」ことを理想・幸せとするならば確かに共通の一つになる。けど、本当に全てを揃えることが必要なのか、と思うから。結局は、「揃える」のレベル感になるのだろうけど、個人的には「努力していればいい」と思いたい面はある。ならば、その努力の形が各自なりの個性になるのだと。

英語の解釈としてアリなのか自分の英語能力では判定できないけど、このTheは誰もが持ってるという意味での既知のTheでなく、「このアルバムで訴えている」という意味でのTheであり、彼自身の理想像だと思う。なぜかって、Just UsとCompletelyが連結しているから。この説明で何人が腑に落ちてくれるか分からない。唯一言えるのはQ Parkerの理想像は、いや努力と現実だね。それにどうしようもなく共感するから。その事実がこれだけ本作を絶賛する一番の理由です。

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YoutubeでみつけたNever Let You Goは未収録かサントラ提供曲かな。こちらもかなり良い曲ですね。Holding Onもそう。なんだ、この良曲の多さは。有り得ない。 holding onは似た曲を聴いた事がある気がする。サビの部分だけ一部拝借しているような。


以前にコメント欄でTourさんと話した
> ちなみに1stの10:I Can't Believeで低い声を披露しているのは誰なんでしょうか?ずっと気になっているのに分からないままで。
> 音質や録音した時の年齢が違ってるんで確実とは言えませんが何度も聴いてみて、おそらくQ Parkerかと

> 単純比較はできませんが112のメンバーのソロアルバムの中では総合的には一番かと
> あとメンバーの中で彼だけ何故グループの代表曲「Cupid」のセルフカヴァーを収録しようとしたのか少し気になりました


> Q Parker聴きこんでます。これは投稿ですね。聴きこむほどに味が出てくる。今の一言案は「気負ってないソロデビュー」かな。
> グループからソロに移行した歌手にしては聴き込むほどに不思議な手触り。けどこの一言案はこのアルバムの15%ぐらいしか捉えてない。けど、もっといい言葉を考えていると半年は投稿できないので。。


Cupidの謎は、考えておきます(笑

 



コメント
こんばんは♪

Cupidの件は軽く流してもらっていいですよ♪
最初にソロを出したMike、112のリードのSlim、リーダー的なDaronじゃなくQ Parkerがアルバムに入れたのが不思議だったんですよね
それもアルバム全体からは彼の自由な歌が聴こえたから尚更です

来週かな?112がビルボードで来日ライブをやるらしいです♪
行きたいけど行けない!!
悔しいです!!
  • Tour
  • 2013/02/12 7:02 PM

個人的にCupidの評価は高くない(アルバムコーナーでもBランク)から、苦手な曲はなかなか突き詰めれない面がありますが。
>それもアルバム全体からは彼の自由な歌が聴こえたから尚更です
そうなんですよねぇ。この感覚はリスナーの共通事項だと思う。自由なのに、Cupidを採録したのは、やっぱり本当の意味での自由だからなのかもしれないですね。個人的に好きなI Can't Beliveならばもうちょっと見えるのだが。

112くるんですね。個人的には迷うなぁ。一人でも行くほど好きなコンサートと、一人でいくのは躊躇するコンサートがあって、112は後者かな。嫁を誘うのは、ジョニーギルクラスじゃないとなぁ。
  • 若井寛
  • 2013/02/14 7:31 PM

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