ゲレンデで聴く曲

スキー黄金期の80'S後半〜90'S前半にはゲレンデで音楽が流れているのが当然だった。リフトは30分待ちが普通で、ゴンドラは1時間待ちととか、今から考えると有り得ないほどゲレンデは混んでいたけど、だからこそ積極的に音楽を流していたのかもね。個人的に一番記憶に残っているのはやっぱりユーミンのサーフ天国、スキー天国かな。

今のゲレンデは違うんだね。11年ぶりにスキーに行ったけど、音楽が流れているゲレンデは殆どなくて、唯一流れていたゲレンデも昔の1/3の音量ぐらい。スキーヤーとボーダーで音楽の趣味が異なっているのが原因かもしれないし、ゲレンデ自体が冬のレジャーTOPじゃなくなったせいかも。

今まで集中的に邦楽を耳にする唯一の機会が「ゲレンデ」と「カラオケ」だった。11年前はDAPもアルバム2枚分ぐらいの容量ですぐに電池が切れたけど、今は好きな曲をイヤフォンで聴きながら滑っているので、ゲレンデで有無を言わさずに流れる音楽が無くなったのは「ちょびっと寂しい」ぐらいなんだけど。

もちろん個人的にゲレンデで聴く音楽の筆頭はCraig Davidのデビュー作。音のカッコよさとリズムのCoolさ。スキーにもボードにも似合う窓口の広さもオススメの理由。3曲(確か7 DaysFill Me InWalking Away)はカラオケINしてる傑作だから、普通に今のゲレンデで流していてもマッチすると思う。ただ、さすがに何度も聴いてると飽きるんだよね。だからその後は「ゲレンデに合う」は気にせずにQ ParkerやATLとか最近、聴きこんでいる作品を選んで聴いてた。

日帰りならそれで十分なのだけど、宿泊してスキーに行くと流石にそれも飽きてくる。だから色々DAPの中を探していたらマクナイトのデビュー作があるじゃないですか。太陽が出ている時に流した事が無い位の作品だけど、思いつきで聴いてみたら半端ないんですよ。前半のミドルとゲレンデのマッチ感が。

奇跡が起こった
と純粋に思ってしまった(笑 そもそも重過ぎる作品だし、今から聴くと最初の3曲のミドルを聴くのに疲れるのだが、何故かゲレンデに合う。アルバムが発表されたのが92年でスキー黄金期だからなのかも。白馬の栂池で滑ってたけど、フード無しの高速クワッドが妙に昔を思い出させて、余計にマッチしたのかもしれない。01:Yoursからくる。あの見晴らしの良い馬の背コースを滑走しながら02:The Way Love Goesを聴く快感。この曲が前提とする底に引っ張る力を全身で受けとめターンで表現する。その場にしがみ付くのでなく重力よりも早く降りるような速度が生み出す快感は、世界で初めてこのアルバムの正しい聴き方を見つけたような実感で。

03:Goodbye My Loveもいいんだよね。今、部屋で聴きながら書いている時はこのバックの音に違和感があるのだけど、ゲレンデでは映える。驚きなのが04:Love Me,Hold Me ミドルというよりSlowに近い曲だけど、マクナイトのHoUというシャウトに合わせてターンをすると、これまたいいんですよ。持ちアルバムは977枚になったけど、恋愛が終わった直後に男がこれだけストレートに体の記憶を表現した曲を他では知らない。この曲が持つ《うずき》のような体の感覚はゲレンデの空と雪の間で解放するのが相応しいんじゃないかな。

さすがに05:One Last CryのようなSlowの曲は滑る時には合わない。けど、リフトから眺める冬山の厳格な表情は、この曲を作った時の心象風景に合うと思う。雪が数m積もっても荒さが目立つ白馬の厳しい山並みと青い空のコントラスト。

アルバムの中で一番闇が似合うのは06:Never Felt This Wayなんだけど、やっぱり太陽の下に持ってきてあげるべきなんだと、リフトに乗って目を閉じながら聴いてて思った。07:I Couldn't Sayは不思議とそのままで滑走にマッチする。緩やかなターンだから初級・中級コースの方がいいかもね。

恋愛が終わった直後の心の痛みを意志で切り裂くような衝動を持った曲は、同じぐらいの重力を感じる場所で、同じぐらいに切り裂く動作が出来る場所でこそ聴くべきだ

と痛感したけど、さすがに誰にも同意されないかもね(汗 そもそも恋愛の直後は悲しみに打ちひしがられる曲の方が多いのだから、《痛みを切り裂く痛み》を表現している作品はマクナイトの処女作しかない。上から眺めたらビビるような角度のコース(斜度30度以上)じゃないとアルバム前半曲がもつ厳しさには合わない。雪が柔和に積もった山並みが広がっている風景も合わないから、完全にフィットする環境は滅多に無いと思うのだけど、それでもドンピシャの時の快感は有り得ないレベルだった。

個人的には馬の背コースを4回滑ってダウン&筋肉痛になってしまったけど、「ミドル以上を聴く時は体が動いてるべき」「どんな曲でも相応しい陽の下の場所がある」「感情を身体動作として発散する」とか色々と気づく点があって嬉しかったです。前半3曲のミドルは完璧なゆえに何かが足らない。落ちるような重力感が基本なのに、その重力感は当然として音楽では表現されていない。だからこそ、自分自身もそういう状況じゃないと聴きこむのが難しかった。これが数年間本作を聴いてない一番の理由。けど、物理的にそういう場所に行けば凄くマッチする事が分かった。この作品をこんなカジュアルな聴き方していいのかしらんと思うけど、一般的にはこれもDeepな聴き方になるのかも(汗 こんなことやってると相変わらず変人と思われそうな気もするが、真実がどこにあるかは分かったよ。

単語してのDeepの反対はshallowと思うけど、「音楽をDeepに聴く」の反対は「カジュアル」なんだね。今回の一連の体験で初めてこの対比に気づいたけど、皆に同意してもらえるのはこれぐらいかもね。

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[02/03]
スキー黄金期が懐かしい方にオススメなのが「追憶のゲレンデ」 
ブームが去って廃墟となったゲレンデを丹念に訪ねた記事は個人サイトとは思えないほどの完成度。各記事のスキー場のコメント欄に書き込まれた内容までが共感を呼ぶ。僕もついついBlog2に書いてしまった。通った回数で言えば中学生までの御岳と、大学時代の宮城蔵王ジャングルジャングルかな。面白山は閉鎖の前に一度行くべきだったなぁ。




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