Case - "The Rose Experience"

Open Letterを潜り抜けた先にある、寛ぐ歌世界


Open Letterから8年、随分と長かった。色んな意味で難産だったのだろう。"The Rose Experience"というタイトルを見た時点で発売前から期待してました。ジャケをみて、さらに期待度UP。ジャケと作品レベルの関連性は、歌手の年齢に応じて比例していくと思って間違いないです。デビュー作なら、歌手は若い&エゴもあるから、ダメダメなジャケでも傑作の時もある。けど、30歳過ぎてジャケが悪いなら、それはもう駄作間違いないです。

逆にジャケが良ければ、それだけで買っていい。
何よりも、ジャケでの表情が大切。今まで以上の地点に辿り着いたような・・・そう、このジャケのような表情ならば、予約して買う位のレベルです。

Open Letterに対して最終的に「どんな場所にも光は差し込む」と書いたけど、本作は午後2時の陽の当たる公園を思わせるような、明るく寛いだ雰囲気が印象的。


01:Be That Manから傑作曲。前作で身につけたフレージングを使いながらも、明るい。この明るさはOpen Letterを聴きこんだ人ほど、感激できるレベルだと思う。ピアノから始まる02:Loverlyで深度が増すんだよね。それに合わせてCaseの声が幼くなっていくのが驚きのような・当然のような・・・不思議な感覚。

個人的には03:Deja Vuかな。リズムが聴いてるから。04:Betcha Don't Knowでは声に説得力が増えているのがいい。本当、Open Letterと対になる傑作アルバムです。Amazonで中古:7666円の値段が付いているのはびっくりだけど、その値段だけの価値はあります。Open Letterを気に入った人は特にそう。Open Letterだけしか聴いてないのは、片手落ちってレベルじゃない位の大損失です。それ位の傑作なのにチャートアクションの結果がついてこなかった事について

「本人としても階段を登っている&昼に似合う寛ぐ曲がある」のに失敗した作品といえば、私は真っ先にBobby BrownのForeverを思い出します。あの作品でBobbyは退場してしまったから、Caseの事も凄く心配です。

両作品ともHipさや押し気が少ないから、二十歳以下にこの歌世界は伝わらないと思う。チャートが悪くなるのは若い人に売れにくい作品だからだと思います。逆に言えば、ポイントはCaseを全く知らない30歳以上が聴いた時の感想になる。だけど、ある程度話題にならないと、そんな人たちが手に取るチャンスさえ生まれないから。そんな事を考えると、「社会人になって5年以上、責任のある仕事が多くなって、たまの休日も仕事の事を考えてしまうような・・・ビジネス環境の変化等に翻弄されて、人生的にも踊り場に来た感覚を持っている人たち」というコンセプトをちゃんと定義して、そこに本作を登録すべきなのかも。

じゃあ、このご時世、「○活」って名前にする必要あるね。
うーん、何がいいかなぁ。
愁活→うっ、意味不明
中活→うっ、中学生みたいだ

シンプルに「ロストジェネレーション世代への応援歌」でいい気もしてきた。
Open Letterが出た01年頃に入社して、09年に本作が発売されて・・・うん、ピッタシな気もしてきた。

 そういえばロスジェネといえば、「ロスジェネ世代の叫び」っていう連載は面白いのでお薦めです。
 企画(友達繋がりで本音を聞く)自体が面白いし、所々に見え隠れする著者自身の愚かさ&素直さ
 &後悔度合いに、親近感を感じているのかも(笑

06:Turn Me Onは個人的には合わない。逆に07:I Can'tは好きです。何故だろう?I Can'tって言っているのに、聴き込むほどに勇気をくれる面があって、まるで奥底ではI Canと歌っている気さえしてくる。「Can'tといえる事自体が、ひとつのCanなのだ」という部分まで踏まえて出来た曲だからか。それにしてもこの曲の低音を再生するのって、結構難しいと思う。スピーカを変えて、やっとマシに聴けるようになった。でもまだソリッドな音になってないかも。

裏ジャケも良いんだよね。このジャケの表情を見ていると、「人はこんな風に歳をとるべきなんだ」と教えられる。en-wikiにも年齢が無いけど、Caseは一体、何歳なんだろう? 知っている人はぜひ教えてください。10:Smileは終盤を思わせる明るい曲。こういう曲が大味にならならい時点で傑作です。

雨音から始まる11:Waintingはレベルが高いInterludeです。10曲目以降のinterludeでこのレベルになるなら、全曲傑作と断言できるね。ここから更に高みにあがる事間違いなしだから。トーキングから始まる12:Can I Beの曲の良さ。メロディーラインよりも、声の表情だけで決まる曲。この曲を聴かせる曲に出来るのが、偉大な歌手の証左。

13:Can't Believeが一番、悲しみに詰まった声の表情をしている。この曲だけはOpen Letter直結。曲の最初の、嗚咽or呻きとでも言えるような、声。この声の中に入れる事。それこそがOpen Letterを聴きこんだ証です。9年経って聴くと懐かしいような感覚があって、これこそが哀しみのような気がしてくる。懐かしい悲しさ/悲しい懐かしさ。Caseは悲しい懐かしさかな。そして、14:Place to Stayになる。

澄み切った寛ぎ

Deepを潜り抜けた先の澄み切った寛ぎこそが、僕がR&B-Soulを通して一生かけて追い求めているもので、MayJ.の最高高度:Ultimate Relationship(A.M.)にも繋がる曲になっている。けど、こっちの方が居場所が多いかな。それは同じ男だからかな? この曲が本作の、そしてOpen Letterも含めた上での、最高曲です。

本曲に完全に浸っていたら、午後の陽光の色のような蓮の花が浮かんできた。HP時代からずっとページの一番下に蓮の花を置いているけど、本当の心象風景とは色が違うという事を、やっと分かった。WWFUを締めるのも大事だけれど、人生において本当に前に歩いた実感は、この作品を聴き込む事から生まれた。アルバムの完成度と達成度で言えば、05年以降でTOPだと思う。それだけの価値のある作品です。

本レビューを書いた後に、蓮の写真の色を変更しました。やっと納得いく色になったと思います。バックの緑と青も深みがでて、個人的に大満足です。




コメント
こんにちは、昔BBSに書いたのですが名前忘れてしまいました。
またあなたの文章が読めてうれしいです。
  • neige
  • 2010/02/25 2:00 AM

おはようございます。
特にこの作品に対するコメントを見ると、Blogに移っても昔と変わらないトーンで書いている気もして、恥ずかしい限りです。
年10作UPを目標にしてますので、今後ともよろしくお願いします。
  • 若井寛
  • 2010/02/28 7:34 AM

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